上野・国立西洋美術館「松方コレクション展」感想

上野の国立西洋美術館で開催されていた「松方コレクション展」に行ってきた。9月23日まで開催中である。
https://artexhibition.jp/matsukata2019/

きっかけ

7月は有給休暇を消化する期間でまるまる休みにしている。
その時に何をして過ごそうかと思って、「印象派 展覧会」で素直に検索して
2019年東京・横浜・箱根で大規模な「印象派」展覧会が3つ開催 | 和樂web(わらく)日本文化の入り口マガジン
を見て、展覧会の存在を初めて知った。比較的近くなので、7月早めの日程で行ってきた。

所要時間

2時間くらい掛かった(汗)。

最初の時点で作品点数を80点程度だと勘違いしていた。(上の記事で3つの展覧会を紹介しているが、残り2つの展覧会ではそのくらいの点数なので、それと混同したのだろう。)
展示目録を見て、「155点もあるじゃん」という恐ろしいことに気づく。 これでは、速く見ていかないと時間がかかってしまう。
セクション2までで70点、全体の半分弱の作品が展示されている。この部分は時間をかけないことに決めて飛ばし気味にした。
セクションの1、2はほかのセクションと違い、かなり密集した状態でところ狭しと絵を並べてあった。上下に絵を並べて展示してあるのは珍しい。

  • セクション1, 2はかなり飛ばし気味に見ていった
  • 音声ガイドを使用。 橋本さとしって名前は知らなかったけど、「プロフェッショナル 仕事の流儀」のナレーションをしている人なんだな。
  • 途中で2回ほど、椅子に座って図録を見て休憩

平日に行ったけど決してガラガラではなく、結構人が入っていた。休憩用の椅子が空いていないこともあった。

フランスから返還された作品

松方コレクションの一部はフランスのパリに保管されていた。第二次世界大戦の中でナチスの侵攻が迫り、近郊の農村に絵を移動する。しかし、戦争の終盤にフランス政府が「敵国の財産」として接収する。
戦後に吉田茂が松方コレクションの返還を求めて、フランス政府側がそれに応じた。返還の条件として、フランス側は「コレクションを展示するに相応しい美術館を建設すること」を提示した。そのために60年前に出来たのが、今回の展示が行なわれた国立西洋美術館である。国立西洋美術館の由来が松方コレクションだったとは、初めて知った。

さてフランスは、作品を返還するときに「特に重要な作品は返還しません」と、二十数点の作品は返還を拒否した。
日本側が粘って交渉した結果、変換されない作品の数は20点に減った。
今回の展示にはルノワールの「アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」があった。本作は、このときに返還が決定した(つまり二十数点の中に入っていて20点の中には入ってない)作品の一つだと、解説には書いてあった。

フランスから返還されなかった作品

フランスから返還されなかった作品は20点ある。普段はフランスの美術館に所蔵されている。

この2つは人気で人だかりが出来ていた。「アルルの寝室」は椅子から長いこと見ていた。 ポストカードも買った。しかし、実際の絵は明るい色彩なのに、ポストカードだと暗くて鈍い色になっているのが残念…… 今年始めにムンク展で買ったムンクの「太陽」も同様の問題があるのよね。ポストカードだとこうなるのかな……

  • ハイム・スーティン「ページ・ボーイ」

あんまり自分の趣味ではなかったので、サッサと飛ばした。

公式の出品目録:pdfによれば「オルセー美術館」って書いてある。しかし、 Wikipediaの「松方コレクション」 を見ると、セザンヌ『調理台の上の瓶とポット』で微妙にタイトルが違うし、「ルーブル美術館 蔵」って書いてあるね。何が正しいんや……

睡蓮

フランスからの返還の際にモネの「睡蓮、柳の反映」という作品があった。 上の半分くらいが欠けているなど、あまりに作品の損傷が激しく、まともな作品と見なされなかったらしい。そのため、「フランスから返還する作品」にも「返還しない作品」にも含まれなかったらしい。リストの一覧に加えられなかった、ということだろう。
そのまま行方不明になり、歴史の表舞台から消えていった……が、2016年にルーブル美術館で発見された。1年以上かけて傷んだ部分を修復した。
最終セクションで展示されている。

ちなみに、入り口のところで「睡蓮、柳の反映」の推定復元図が展示されている。プロジェクターによる投影。(撮影可)。

参考: 流転の軌跡を辿る ── 国立西洋美術館で「松方コレクション展」 | ニュース | インターネットミュージアム