森絵都 「風に舞いあがるビニールシート」読書メモ

森絵都風に舞いあがるビニールシート」を読んだ。読書メモ。

どういう本か?

文庫本50ページ程度×6編の短編小説集。
裏表紙の概要によれば、「大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた」作品らしいよ。

何で読んだの

図書館が不要になった本を「ご自由にお持ち帰りください」と並べてあったのを見て、読もうと持ち帰った。

比喩表現

そもそもタイトルの「風に舞いあがるビニールシートからして比喩である。

三人は境内の前庭にあるくだんの梵鐘を通りかかった。背後の山を映やす残照を浴び、その黒々とした身をたおやかに揺すっている。(p.161 擬人法)
英文をさらさら追っていた里佳の目が、突然、小石にでも蹴躓いたように静止した。(p.262)

表現の細部

吠え疲れたのか諦念の目を宙にさまよわせる犬も、……

巧みな表現だと思うか、それとも表現が悪目立ちして鼻につくか、ちょっとギリギリのところではないだろうか。

おまけ

森絵都の作品の中で、なぜか中学入試によく出るのは「子供は眠る」である。 年上のいとこ?に表面上従ってきた 「バラバラになって床の上で揺れている貝殻」に傍線が書いてあって、「これは何の暗示でしょうか」という問題があり、 「主人公たちの関係が崩壊したことの暗示」が正解だったような。あれは自分が中学受験したときか、それとも塾で教えているときのことだろうか?

それでは。