2019年の7月にタイのバンコクに一人旅に行ってきた。
海外に一人で行くのは初めてで、色々な出来事があった。
しかし、詐欺に遭いかけた話は「今後の誰かの役に立つかな~」と思うので書き残しておく。
下の方でなるべく正確なやり取りを再現したが、フルバージョンは長いので、概要を書くと以下の通り。
- バンコクの国立博物館に入る前、及び出てきた後に、おじさんに声をかけられた
- おじさんはいくつかの寺院と「スーツ屋」に行くよう俺に勧めた
- おじさんはそのまま近くのトゥクトゥク(タイの三輪タクシー)を呼び止め、トゥクトゥクの運転手に話をした。
- 俺は言われたとおりに、トゥクトゥクに乗っていくつかの寺院と「スーツ屋」に行った
- 最後の寺院に着いてトゥクトゥクと別れたあと、考えてみれば「スーツ屋」に連れていかれたのが妙だと思った
これがどう詐欺なのか? スーツ屋(テーラー)でオーダーメイドのスーツを注文し、日本に帰ってからスーツが届くと、全然違う粗悪品だったというオチになる。 悪徳テーラーの事例は、「地球の歩き方」バンコク編ではトラブルの例として必ず掲載されていた。 俺はスーツの良しあしなんて詳しくないし、そのスーツ屋がまともなスーツ屋である可能性もあるから、何とも言えないが……。
試しに「バンコク スーツ 詐欺」で調べてみたら、同様のケースがたくさんみつかった。
例えば、これは声をかけられた場所が同じだし、状況もよく似ている。
これって詐欺?タイ人の連携プレーにひっかかったわたしの体験談 | Guanxi Times [グアンシータイムス]
さて、ここからは、おじさんがなんて言って声をかけてきたのかをなるべく具体的に書いていく。
13:20ごろ、博物館に入るとき
おじさん「入場料は200バーツだ。この後はマウンテンに登るといいよ」
14:30ごろ、博物館から出たあと
(記載のないものはおじさんのセリフ)
良かっただろう。午前中は博物館は閉まっていたんだ。タイ国王が来ていたので
(注:午前休みだったのは本当。閉館理由の真偽は不明)
俺「実は一度午前に来たが休みだったんだ。」
この後はゴールデンマウンテンに登れ。ワットスラケートだ(表記揺れ:ワットサケートとも呼ぶ)。 地図を貸してみろ。 (注:この時点で俺は「地球の歩き方」の地図を見せながら会話をしていたため。ホテルでもらった観光地図をおじさんに見せた)
ワットスラケートを見た後、タクシーを使うと値段が高い。 だから、見た後は渡し舟に乗るとよい。 ここで乗って、ここで降りろ(観光地図に丸を付けながら)。 それからサイアム駅に行って、電車に乗れば良い。渡し船の代金は9バーツだ
それからここの寺院に行け。立っているブッダと、座っているブッダと、寝ているブッダ。四人のブッダがいるんだ それからここの寺院、これがブラックブッタだ それと今日のニュースを見たか? 俺「見ていない」 そうか。ここにタイファッションというところがあって、織物全般を作っているんだ。スーツなどが売られている。 (ここで俺は「何か伝統的な織物を織ってるところを見られるのかな?」という解釈をした。博物館から出てきた直後であること、英語が完全には理解できなかったことが理由だろう)
それで値段は60バーツか100バーツくらいだ。もしトゥクトゥクの運転手が、120バーツや200バーツなどと言って来たら、どうするか知っているか? 俺「いや」
「****」だ。タイ語で「高すぎる」という意味だ。(地図の端にその単語を書きながら) そう言えば外国人だとは思われないから安くしてくれるだろう。
白いナンバープレートのトゥクトゥクはやめておけ。
黄色いナンバープレートの取得は政府の公認だから、ボッタクリが少ないんだ。
黄色いナンバープレートのに乗れ。
ほら、トゥクトゥクが来たぞ。お前のために私が話をつけてやろう
(俺の内心:ワット・スラケートは最初から行くつもりだったけど、他は行っても行かなくてもいいなぁ)
トゥクトゥクの爺さんに:この寺と、この寺と、ここと、ここに行ってくれ、60バーツだ。
俺に:そら乗れ
おじさんの服装が、バンコクでよく見る黄色いポロシャツだったので、博物館の職員か何かかなと思ってしまった。
だけどよく考えたら、博物館の門の外側に立ってましたね。職員ではないのだろう、あれは。
(黄色いポロシャツは、バンコクで極めてよく見かけるので多分どこでも買えるんだろう。)
聞き取りやすい英語で、結構流暢に話していた。ただナチュラルスピードというほど速くない。まさに「ちょうど聞き取れる」スピード。(あまりに流暢な英語だと俺が聞き取れないが、そうならないくらいの英語)
怪しい洋服屋に行った時に、他に2台のトゥクトゥクがほぼ同時に来ていた。その2台は欧米系の人を何人か乗せていた。複数のトゥクトゥクと結託している可能性がある。
洋服屋は全くしつこくなかった。「どこから来たんだ?」「日本」「どの色が良いか?」「グレーかなぁ」「この辺にグレーの生地がある。サイズ測るか?」「NO」「サヨナラー(ここだけ日本語)」であっさり解放してくれた。
今回の一件から得られた教訓というのは、抽象的には「向こうから話しかけてきて色々親切にしてくる奴には警戒しろ」であろう。 ただ、とっさに判断するのは難しい。
もう少し具体的には、詐欺の予兆と言える危険なキーワードがあるんじゃないか。
「スーツ」「宝石店」、そして「ラッキーブッダ」「ブラックブッダ」が危険なキーワードのようだ。
有名な観光地の付近で声をかけて、「今日は(付近の有名観光地)は休みだ。代わりにいい場所があるから紹介してやる」という詐欺の手口があるらしい。(これ以降は上と同じケースで、スーツ屋か宝石店に行かされる)
ところが俺の場合はマジで午前中が休みだったので、信じてしまった。うーむ。
二番目のローカルな寺で会ったおじさんも、俺を見るなり気さくに話しかけてきて、二言目には「スーツを着るか?」って質問をしてたな。
で、この近くでセールがあるとかなんとか言ってた気がする。
他にも、トゥクトゥクの運転手の爺さんも「スーツ屋では七日間のセールの最終日だ、とても安いんだ」みたいなことを言ってた。いやー、この運転手もグルだわ。
向こうから話しかけてきて、「スーツを売ってる店があって……」と言われたら、詐欺の始まりと思った方が良いのかも。 さしずめ日本だと「俺だけど、会社の金を使い込んじゃってさぁ」と同じくらい危険なのかもしれない。
ちなみに、「ラッキーブッダ」および「ブラックブッダ」という単語も、危険な単語だと思われる。 観光ガイドには出てこない。で、この手の体験談にはよく登場する。基本的に詐欺師が使う単語なんだろう。
Googleのタイムライン機能と照合して、寺院が分かったら追記する。
- 寺1:調べて出てきたら追記する
- 怪しいスーツ屋: Y.H.M. Group Company Limited(位置は下の地図を参照)