gotchaが名詞の場合の意味。

まとめ:
(特にコンピュータ・プログラミング関連で)gotchaという単語が名詞として使われた場合は「落とし穴、引っかかりやすい箇所」の意味

きっかけ

pandasドキュメントを読んでいたら、セクションのタイトルにgotchasと書いてあった。 Essential basic functionality — pandas 0.25.3 documentation
gotchaは普通「分かったよー」という意味(間投詞)のはずだが、sが付いているからどう見ても名詞だ。一体どういう意味なんだろうか?

英辞郎

英語の意味を調べるならまずは英辞郎ですよねー、と調べたが……

gotcha
【間投】
1. 〈話〉〔探している人を〕見つけた、捕まえた◆(I've) got you.の発音つづり
2. 〈話〉仕留めた、やっつけた、もう逃げられないぞ◆投げたもの・飛ばしたものなどが相手・獲物などに当たったときなど。
3. 〈話〉分かった、了解◆相手の言ったことの意味が分かったときなど。
4. 〈話〉引っかかった◆相手を驚かすために軽いうそをついて、相手がそれを信じたときなど。
【名】
1. 〈話〉〔探している人を〕見つけること、捕まえること
2. 〈話〉逮捕

流石に「逮捕」ではないだろう。「誰かを見つけること」もおかしい。
というわけで、英辞郎には探している意味が載っていなかった。

Urban Dictionary

俗語・スラングを調べるなら強いのがUrban Dictionary
「色々な人が単語の定義を投稿して、投票により選ばれたものが上位表示される」という仕組みなので、既存の辞書よりは信頼性が落ちることは注意。
とはいえ、通常の辞書に出てこないような新語・俗語などには非常に強い。

Urban Dictionary: gotcha

An annoying or unfavorable feature of a product or item that has not been fully disclosed or is not obvious.
例文:The new camera takes excellent photos, but one major gotcha is its slow processing time.
拙訳:製品・品物の、迷惑なあるいは好ましくない特徴で、完全には公表されていなかったり明白でなかったりするもの。
例文:この新しいカメラは素晴らしい写真が撮れるが、しかし一つの大きな落とし穴は処理速度が遅いことだ。

「欠点・短所」でもいいけど、「隠れた欠点」というような意味のようだ。

A proverbial pitfall. Something that has negative consequences that are easily overlooked.
A common gotcha is forgetting to push in the fuel cutoff.
A common gotcha is to rely on the computer and not check its output.
よく知られた落とし穴。悪い結果をもたらすが、すぐに見過ごされてしまうもの。
例文:よくある落とし穴は、燃料遮断(スイッチ?)を押し忘れてしまうことだ。 例文:よくある落とし穴は、コンピューターに頼ってその出力結果が正しいことを確認しないことだ。 

「pitfall」は「落とし穴」という意味。なのでgotchaも「落とし穴」と訳して良さそうだ。

Wikipedia

Gotcha (programming) - Wikipedia

わざわざ「プログラミング」と断ったうえで記事を立てている。プログラミング独特の

In programming, a gotcha is a valid construct in a system, program or programming language that works as documented but is counter-intuitive and almost invites mistakes because it is both easy to invoke and unexpected or unreasonable in its outcome.
プログラミングにおいて、gotchaは、システム・プログラム・プログラミング言語の正当な概念であって、ドキュメントに書かれたとおりに動くが、しかし直感的ではないため、よく間違いの原因となるものである。なぜなら間違いを引き起こしやすいし、その結果が予期せず理にかなっていないからである。 

訳してはみたけどイマイチ分かりにくいね……
その後にgotchaの例として、C/C++if (a = b) code; が挙がっている。これは確かに言語の文法規則上有効だし、規格通りに動くから、(言語処理系の)バグではない。しかしこれを書く人は、if (a == b) code; と書くつもりでうっかり間違えてこう書いているケースが多い。そのため間違いの原因となる。

つまり……gotchaというのは、バグではなく、仕様通りの動作ではあるが、それが予想した通りではない、という箇所らしい。

由来

gotchaという単語はもともと、I've got youの略(音韻変化)である。
英辞郎にある通り、「見つけた!捕まえた!」あるいは「やーい、(私の嘘に)引っかかったな!」という 今回の主題であった名詞のgotchaは、「ある状況が人を、捕まえて引っかける」というのがおそらく由来だろう。 言い換えれば、「人がある状況にハマる、引っかかる」という意味になる。

今日のまとめ

「バグ(不具合・誤り)」とは違う概念なのは間違いなさそうだ。 しかしその意味は各サイトによって微妙に異なるので、「公表されていないもの」とか「ドキュメントに書いたとおりに動くが」の要素は参考程度に見るのが良いだろう。
全体としては「落とし穴、引っかかりやすい箇所」くらいの意味になる。

参考:
meaning - What does 'gotcha' mean? - English Language & Usage Stack Exchange 単に「問題が起きそうな箇所」くらいの意味でも使う?
コンピュータ業界でよく出る英語 - Qiita 最初にgotchaの説明あり